パワフルな歌声を響かせてきた浜崎あゆみ。出産後も活躍が期待される  (c)朝日新聞社
パワフルな歌声を響かせてきた浜崎あゆみ。出産後も活躍が期待される  (c)朝日新聞社

 男児を産んでいたことを、会員制ファンクラブサイトで明らかにした歌手の浜崎あゆみ。出産まもない大みそかにカウントダウンライブを開いたことについて、心配の声が上がっているが、医学的にはどうなのか。

【写真】ゴマキは出産後初登場で美脚を披露していた

 産婦人科医の宋美玄さんは「帝王切開なのか、経腟分娩(ぶんべん)なのかにもよりますが、1カ月は経っているので、安静にしていなければいけない時期は過ぎている」と話す。

 出産を終えた女性の体が元に戻るまでの6~8週間を「産褥(さんじょく)期」と呼ぶ。この時期は、妊娠によって広がった子宮が元に戻ろうとする後陣痛が起こるなど、妊娠や出産で生じたダメージや疲労などが一気に出てくる。妊婦から母親の体に変わる時期でもあり、乳房が張ったり、腰や股関節に痛みが出たりと、個人差はあるものの体調不良に悩まされることが少なくない。

 自身も2児の母として子育て中の宋さんは、

「出産後3週間は最低でも家事・育児を家族や周りの人に任せて、お母さんにはゆっくりしてほしい。その後の育児をがんばるためにも、この時期は横になって体を休ませることが大事」

 と産後の女性を慮(おもんぱか)る。

 こうした大きな体の変化が落ち着くのが1カ月後。だが、この時期でも気を付けなければならないことがあるという。それは「骨盤底筋の緩み」だ。

「骨盤底筋とは、子宮や膀胱(ぼうこう)などを下支えする重要な筋肉群。一般的には、出産でダメージを受けた骨盤底筋が回復するまで、3~6週間かかり、この時期に腹圧がかかる行為(重い荷物を持つ、おなかを締め付ける下着の着用など)をすると、骨盤底筋に緩みが残ってしまう可能性が高い」(宋さん)

 骨盤底筋の緩みは、将来的に尿もれや便もれのリスクに。先のことを考えると今しっかり休んでおくことが大切、というわけだ。

 浜崎さんは自身のインスタグラムで、カウントダウンライブは医師や助産師を始め、多くのスタッフの協力のもとで実現できたステージであると説明。「女性が産後すぐに動けるということの証明ではない」と綴っている。これには宋さんも同意見だ。

「浜崎さんに限らず、産後1カ月ほどで職場復帰する女性はいます。それは本人が希望することであって、周りがとやかく言うことではありません」

 あゆ、41歳。妊娠、出産を経て新たなステージに立った。ファンならずとも、彼女の発信するメッセージに期待する人は少なくないだろう。(本誌・山内リカ)

週刊朝日  2020年1月24日号