ほかにも大型商業施設やホテル、旅館などの開業が全国的に相次ぐ。やはり五輪イヤーは特別なのだ。

 経済や政治はどうなるのか。経済は一言でいうなら「堅調」だ。五輪による盛り上がりに加え、政府の総額26兆円にもなる経済対策もある。

 政府や日本銀行の株価維持政策もあって、日経平均株価は19年12月13日に1年2カ月ぶりに2万4千円台を回復。複数のアナリストは、「今年は2万5千円を超えてバブル後最高値圏になる」と予想する。

 経済が上向く背景には技術の進歩もある。AIによって会社の業務が効率化し、人手不足を補うことができるようになりつつある。自動車の衝突回避や自動運転システムも開発されている。高齢ドライバーの事故対策の一環として、国内で販売される新車は21年11月から段階的に、「自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)」の搭載が義務づけられる。すでに搭載した車は販売されており、今年は買い替え需要が高まりそうだ。

 一方でリスクもある。建設ラッシュや訪日外国人の増加といった特需がいったん終わり、景気は失速するとみるアナリストも目立つ。次のビッグイベントである25年の大阪・関西万博に向け、景気をどう加速していくのか。家計収入が伸び悩み個人消費が低迷するなか、「アベノミクス」は正念場だ。

 野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英さんは景気の基盤固めの年になるという。

「中国の景気が落ち着く兆しが見えています。世界経済が安定すれば日本の経済や金融市場にもプラスになります。リスクになりそうなのは外国為替市場。円高ドル安になると日本の株価は下落する。なかなか減らない貿易赤字に業を煮やした米国のトランプ大統領が、為替介入などによってドルの価値を下げる政策を進める可能性もあります」

 楽天証券経済研究所チーフグローバルストラテジストの香川睦さんも、経済は底堅いとしつつ、リスク要因はいろいろあるという。

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