一方ベテランのオペレータは一度、相手に言われた質問を決して忘れない。電話を受けるとすぐさま「ガスが使えなくなったんですね」と復唱をする。復唱をすることで自分の記憶にも刻み込むし、相手にもちゃんとわかっていますよ、というアピールができる。ものすごく簡単で単純なことだが、これで「私はあなたを大切に扱っていますよ」と伝え、地雷を除去することができるのだ。

■主語・理由を省略する地雷

お客様「解約について聞きたいんだけど」

オペレータ「2番を押してください」

 コールセンターに電話をして、こういう案内を受けたことはないだろうか?こうして文字にすると「は?」という唐突な印象をうけるが、実はこのセリフには、お客様「解約について聞きたいんだけど」、オペレータ「(解約に関する質問だな、じゃあ対応する部署はここじゃなくて2番だからナビダイヤルで)2番を押してください」という「理由」の大部分の省略が含まれている。

 ここまで極端でなくとも、一日に何度も同じような案内をしなければならないコールセンターでは実はこういった端折った案内はよく起こりがちだ。

 当然いきなり「2番を押せ」と言われた相手は「質問に答えてないだろ!」「なんでだよ!」という気持ちになる。結論から言ってしまえば「2番を押せ」という案内は間違っていないのだが、相手は「ふざけんな!たらいまわしにするな!」と怒り出す。

 主語や理由を省略するオペレータはお相手を怒らせやすい、それは相手がちゃんと理解できていないから、つまり腑に落ちていないからだ。

 腑に落ちる、つまりキチンと納得がいかなければ人は怒る。だから怒らせないようにするには、ちゃんと相手の腑に落ちる説明をしなければならない。

 この地雷を踏まないためには、どんな事柄にも絶対に主語や理由を省略しないことを心掛けることだ。「解約の窓口はこの窓口ではなく別の窓口です。電話をかけた時のナビダイヤルでも解約は2番と流れたように、この窓口では解約はできない、だから2番にかけてください」と1から10までの伝える気持ちで説明をするのだ。付け加えるならばゆっくりと、相手が理解できるスピードで。

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怒りのスイッチの見分け方