トヨタ自動車が発表したヒューマノイドロボット「T-HR3」(手前) (c)朝日新聞社
トヨタ自動車が発表したヒューマノイドロボット「T-HR3」(手前) (c)朝日新聞社
2020年の主な予定 1/2 (週刊朝日2020年1月17号より)
2020年の主な予定 1/2 (週刊朝日2020年1月17号より)
2020年の主な予定 2/2 (週刊朝日2020年1月17号より)
2020年の主な予定 2/2 (週刊朝日2020年1月17号より)

 凄(すご)い年になりそうな2020年。私たちの暮らしを変える新技術が相次いで登場する。

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 次世代の通信規格「5G(ファイブジー)」のサービスが春から本格的に始まる。NTTドコモやKDDI(au)、ソフトバンクなどの大手通信会社が、より便利なサービスを競う。

 通信速度は現在主流の「4G」の数十倍で、大量のデータを高速でやり取りできる。例えば、映画を数秒でダウンロードし、スマホで見られるようになる。スポーツなどの鮮明な映像をリアルタイムで楽しめる。仮想現実(VR)や拡張現実(AR)の技術も生かして、臨場感あふれる観戦ができるかもしれない。五輪はテレビではなくスマホで見る時代になるのだ。

 医療や介護の分野でも応用が期待されている。過疎地の診療所と専門医がいる大病院を5Gで結び、患部の映像を見てもらいながら、診察を受けられる。自宅にいながら、スマホを通じて専門家にも相談しやすくなる。

 5Gとの相乗効果で一段と進歩するのが人工知能(AI)。より多くのデータを集めて分析するほど、判断の正確性は向上する。家電などに小型センサーを組み込み、5Gの通信網でつなぐことで、大量のデータを収集できる。冷蔵庫やエアコンなどの遠隔操作や自動化がいっそう進む。

 実用化に近づくのが自動運転だ。ホンダは夏をメドに、条件付きで運転を自動化する「レベル3」の車を発売する予定だ。無人走行の「レベル4」の実験も本格化する。

「5GやAIが自動運転の開発を加速させています。自動運転の車はまだ値段は高いですが、一般の人にも身近になっています。将来的には、目的地を告げれば自動的に連れていってくれる車も実現しそうです」(自動車ジャーナリスト)

 五輪では最新のロボットや情報通信技術なども導入される。トヨタ自動車は陸上競技でやりやハンマーなどを回収・運搬するロボットや、人間に似せたヒューマノイドロボットを開発した。パナソニックは、重い物の持ち上げを支援する「パワーアシストスーツ」を運営側に提供し、荷物の積み込みなどに使ってもらう。会場や選手村の出入り管理では、AIによる顔認証システムも用いられる。

 暮らしを変えそうなのが、キャッシュレス決済の普及だ。無人レジ(セルフレジ)が広がり、店員がいない「無人店舗」も増えつつある。野村総合研究所はコンビニの無人店舗の割合が10年後には全体の1割に達すると予想する。(本誌・池田正史)

週刊朝日  2020年1月17日号

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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