「夢なんか抱くヒマもねぇ」 「おしん」が伝説の“NHK朝ドラ”なワケ
連載「てれてれテレビ」
漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏が、「おしん」(NHK BSプレミアム 月~土曜7:15~)をウォッチした。
【すごいぞ「おしん」!カトリーヌあやこ氏によるイラストはこちら】
* * *
すごいぞ「おしん」。今、毎朝BSで再放送してるわけだが。その直後に流れる朝ドラの「なつぞら」や「スカーレット」がペラッペラに見えるくらい、展開の密度がとんでもない。
最近の朝ドラちゅーのは、ヒロインがアニメーターとか陶芸家になる夢を抱き、それを目指し前向きに頑張るってのが定番だ。
それぞれ凝った作りのタイトルバックにも、ほのぼの感がにじみ出る。そこいくと「おしん」。ドーン、タイトルバックがもう質実剛健な筆文字オンリー。
そしてヒロインは夢なんか抱くヒマもねぇ。まず材木問屋に奉公→米問屋に奉公→この辺で小林綾子から田中裕子に変身し、ここから怒涛のジョブチェンジ。
髪結い→羅紗問屋→子供服店→佐賀で開墾→どんどん焼きの露天商→飯屋→魚の行商→鮮魚店→軍指定の納入業者→ここで乙羽信子に変身→再び魚の行商→食料品店→スーパーマーケット→チェーン店化。
もうろくろとか回してる場合じゃない。転職するごとに降りかかる理不尽に次ぐ理不尽。関東大震災だ、戦争だ、姑だ。登場人物もバタバタと死んでいく。

おすすめの記事
あわせて読みたい