11月の全日本大学駅伝で優勝し、選手たちに胴上げされる東海大の両角速監督(C)朝日新聞社
11月の全日本大学駅伝で優勝し、選手たちに胴上げされる東海大の両角速監督(C)朝日新聞社
東海大の両角速監督=撮影・大崎百紀
東海大の両角速監督=撮影・大崎百紀
東海大の両角速監督(前列中央)と選手たち=撮影・大崎百紀
東海大の両角速監督(前列中央)と選手たち=撮影・大崎百紀

 2020年1月2、3日に開かれる第96回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)で、19年11月の全日本大学駅伝を制した東海大が2連覇を狙う。総合力ナンバーワンと言われるチームの中心に、選手たちの心に寄り添う両角速(はやし)監督(53)がいる。

「2連覇すれば、孫どころか、玄孫の代まで、自慢できるでしょうね」

 両角監督は一見明るく振る舞う。だが、その目は冷静だ。選手たちの心の動きに神経を研ぎ澄ませている。

「連覇を目指すほうが難しいんです」

 前回優勝後、チームに少し浮ついた空気を感じた。選手とのミーティングで、監督自身も指摘を受けた。

「学生に対してこうしてほしいと考える行為は、基本的に自分もする行為だと思っているので」

 自ら態度を変えて、選手に気持ちを切り替えさせた。

 4月からはナイキと契約。練習環境を整え、選手たちのモチベーションを高めた。
 
 そうして選手層が厚いチームを作り上げた。男子マラソンの日本記録保持者・大迫傑(ナイキ)と米国で高地トレーニングをした鬼塚翔太や、日本選手権3000メートル障害の覇者・阪口竜平ら「黄金世代」と言われる4年生の陣容は随一。それに加え、3年生以下が伸びてきた。

「昨季の段階では西田荘志(3年)しか戦力になっていませんでした。ここに全日本大学駅伝でアンカーを務め(大会MVP賞の)名取燎太(3年)、同じく全日本で3区を(区間新で)走った塩沢稀夕(3年)らが戦力として機能してきました。市村朋樹(2年)も出雲と全日本を走っていますし、松崎咲人(1年)もいい成績を出しました」

 各校のエースが出そろう「花の2区」を希望する選手は5人もいた。
そんな中、両角監督は「みんながエースかな」と、選手一人ひとりのプライドを傷つけないように気を使う。

「自立した選手が多く、逆に頑張りすぎちゃう。特に松尾淳之介(4年)、阪口、郡司陽大(4年)あたりは、見ていてもやりすぎているな、という感じはありました」

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