──しかし、シングルインカムのまま定年を迎える50代の夫婦が、いまから共働きに舵を切るのは難しいのではないでしょうか。

 二つの“事実”を指摘しましょう。まず、年金は繰り下げたほうが圧倒的に有利なこと。給付開始をひと月延ばすごとに0.7%のプレミアムがつき、最大42%も受給額が増えます。これは元本保証で年率6%で運用するのと同じですから、べらぼうに有利な資産運用です。

 そしてもう一つは、年金を夫だけでなく妻も繰り下げることでより大きなメリットを享受できるということです。であれば、繰り下げ受給の上限である70歳(現在75歳までの延長を検討中)まで共働きを続けたほうがいい。80歳を過ぎてから「働かないと暮らしていけない」と気づいても遅いですから。「生涯共働き」こそが最強の人生設計なのです。

「でも、結婚したときに専業主婦になってくれって言ったじゃない」と妻に言われたら、「家事も育児も頑張ってやるから」と土下座してでもお願いするしかないのではないでしょうか。

(アエラムック編集部・白石圭)

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