医療機関では、「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」が処方されることもある。急激に起こる筋肉のけいれんを伴う疼痛を緩和する漢方薬だ。神経の栄養で重要なビタミンB群、電解質の調節作用がある。鳥居内科クリニック(東京都世田谷区)院長の鳥居明さんはこう話す。

「肩こりの治療薬としても知られる『リンラキサー』という処方薬もありますが、脱力が生じることもありますので、ご高齢の方には、漢方薬のほうが安心です」

 かかりつけ医がいれば、相談してみよう。

 予防法はあるのだろうか。前出の阿保さんは言う。

「歩くこと。そしてストレッチなどで、筋肉の収縮と弛緩(しかん)を日常的に心掛けることです。そうすることで、腱紡錘に関わる筋肉の状態が整い、こむら返りの頻度が減るでしょう」

 就寝時の足のつりを防ぐには、就寝前と就寝中に血流が良くなるよう意識することが何よりも大事なようだ。具体的にはどうすべきか。

「就寝時には、ふくらはぎが(敷布団に)接しないように足枕を入れたり、掛け布団を軽くしたりすること。ふくらはぎの接地面が圧迫されると、血流が遮断されるからです。就寝前には、ふくらはぎ伸ばしです。しっかり伸ばすためには、ひざを曲げて、かかとをつけるようにして伸ばすといいでしょう。就寝中に寝返りを打つのもいいです」

 東京医療専門学校(東京都新宿区)の鍼灸(しんきゅう)師、船水隆広さんは、「冷え対策」もポイントに挙げる。

「足のつりは、秋から冬にかけて多くなります。原因はいろいろありますが、冷えによる血行不良のことが多いのです。ですから、今から冷えない体にすることが大切なのです。眠る前に布団を温めておき、夜10時に眠るなら、8時とか9時ぐらいになったら、ふくらはぎ、足の裏、向こうずね(弁慶の泣きどころ)を軽くさするのもお勧めです」

 中でも、すねの骨の上やふくらはぎの内側をよくさするのがいいという。圧は強くかけず、軽くやるので十分。眠る1、2時間ほど前の入浴も効果的だ。入浴できない日は足湯でもいいだろう。

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