東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
西武への復帰会見で笑顔を見せる松坂大輔=2019年12月11日 (c)朝日新聞社
西武への復帰会見で笑顔を見せる松坂大輔=2019年12月11日 (c)朝日新聞社

 西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、世間の“忘年会スルー”と同じように、球界でも優勝会に参加する選手が減っていると明かす。

【写真】西武への復帰会見で笑顔を見せる松坂大輔

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 社会人の皆さんは忘年会シーズンに入っていると思う。ただ、どこの会社も社員の参加率はいかがなものだろう。かつては強制参加させることができたが、今の時代は強制御法度。「若手が何かと理由をつけて出席してくれない。本来なら1年間の労をねぎらうためのものなのに……」と私の知り合いも嘆いていた。

 というのも、私は名球会イベント参加のためにハワイに行ったのだが、重なるような日程で、リーグ優勝を果たした巨人、西武に加え、日本一となったソフトバンクの面々がいた。西武も前年参加しなかった2軍首脳陣やスタッフ、その家族も参加して250人を超える人数が集まった。

 一方で、気になったのが主力選手の参加率である。巨人は原辰徳監督自ら参加を呼びかけたこともあり、多くの主力選手がハワイに来ていたが、西武やソフトバンクの主力は全員とはいかなかった。独身者は「1週間もハワイにいても……」という感情になってもおかしくない。

 ただね。野球は会社と同じようにチームで動くものである。会社員以上に、寝食を共にするほど、濃密な時間をおくる。だからこそ、オフはチームと一緒になりたくない、家族と静かに過ごしたいという気持ちもあるのかもしれないが、横のつながりは大切にしたほうがいい。そう感じるのは、私が古いタイプの人間だからだろうか。今の優勝旅行は、拘束するようなイベントはほとんどない。プライベートの時間はしっかり確保されているし、グラウンドを離れ、監督、コーチ、スタッフという立場も忘れ、またそのご家族とコミュニケーションをとることができる貴重な場だろうと思っている。

 オフは一日たりともトレーニングを欠かしたくないという選手もいるだろう。確かにハワイに行ったらマシン打撃はできない。とはいえ、ハンドルに遊びがない車が危険なように、オンとオフの切り替えをうまく作ることも、心身ともに大事な要素だろうと思う。2020年は東京五輪があるから、開幕は3月20日と例年より1週間早い。おのずとオープン戦開幕も早まる。2月1日のキャンプ初日は変わらないけど、いきなり実戦モードに入ることになる。若手は例年以上に早く状態を上げてアピールする必要があるが、主力であれば開幕に向けて仕上げるものである。ハワイに行っている場合ではない、と考える必要はないと思うが。

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東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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