プレミア12の2次ラウンド・韓国戦で、ヒーローインタビューを終え、ファンにあいさつする丸佳浩(C)朝日新聞社=2019年11月16日
プレミア12の2次ラウンド・韓国戦で、ヒーローインタビューを終え、ファンにあいさつする丸佳浩(C)朝日新聞社=2019年11月16日
オリックスの吉田正尚(c)朝日新聞社
オリックスの吉田正尚(c)朝日新聞社

 11月に開催された野球の国別対抗戦「プレミア12」で、2009年の第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)以来10年ぶりに国際大会で優勝を飾った日本。戦前は巨人・菅野智之、ソフトバンク・千賀滉大とエース級の2投手を欠き、打線もソフトバンク・柳田悠岐、西武・森友哉が不在の布陣で「選手が小粒」と指摘する声もあったが、投打ががっちりかみ合った。決勝の韓国戦では初回に3点を先制されたが、5-3と逆転勝利。チームの粘り強さを象徴する試合だった。

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 優勝した際に感極まって涙を流した稲葉篤紀監督だが、20年に開催される東京五輪のメンバーを決断する際に頭を悩ませるだろう。

 今回のプレミア12に出場した選手は28人。不参加だった菅野、千賀らに加え、楽天・則本昂大、松井裕樹、広島・大瀬良大地、西武・山川穂高、巨人・岡本和真中日・高橋周平、DeNA・宮崎敏郎らもメンバー入りのチャンスがある。

 東京五輪で登録できるメンバーは24人とプレミア12より4人少なくなる。野球が実施された前回の08年北京五輪は投手10人、野手14人の構成だった。最も熾烈(しれつ)な競争になるのは外野だろう。

 プレミア12は広島・鈴木誠也、巨人・丸佳浩日本ハム・近藤健介、オリックス・吉田正尚、ソフトバンク・周東右京の5人。リーダー格として期待された西武・秋山翔吾は大会前の強化試合でケガをしたため戦線離脱し、丸が追加召集された。

 東京五輪は外野の枠が4~5枠になる。東京五輪で「稲葉ジャパン」で不動の4番になった鈴木、足のスペシャリスト・周東は当確だろう。内外野ができる西武・外崎修汰を含めると、外野は残り2枠になることも考えられる。

 在京スポーツ紙デスクはこう分析する。

「柳田は攻守で外せないでしょう。そうなると同じセンターの丸が重なってしまうので厳しい。また、守備力が高いとは言えない吉田、近藤も当落線上です。プレミア12では持ち味の打撃でアピールできなかった。シーズン中の状態次第では走攻守で総合力が高い日本ハム・西川遥輝、大田泰示が選ばれる可能性はあると思います」

 大リーグ・エンゼルスの大谷翔平、レイズに入団が決まった筒香嘉智、去就が注目される秋山を含めた「メジャー組」が五輪に招集できない前提で考えると、中堅・柳田、右翼・鈴木は確定になるだろう。残るは左翼の1枠。地元開催の五輪は、プロ野球選手なら誰もが出場したい。指揮官はメンバー選考に最後まで頭を悩ませそうだ。(牧忠則)

※週刊朝日オンライン限定記事