●お布施や寄付は強制ではない。経済的に支えるのも檀家の役割だが、余裕がなければ無理せずに。住職らに事情を話せばわかってくれるはず。お寺も経済的に厳しい時代になっていることは理解しておこう。

●墓じまいは早めに相談。お墓の維持が難しくなれば、理由をきちんと伝える。いきなり通告するのはトラブルのもと。墓の移転には時間も費用もかかる。お寺の状況にも配慮して進めよう。

●こじれた場合は公的窓口に。墓の移転に必要な「埋葬証明書」を出してもらえず、高額の「離檀料」を請求されるケースも。話し合いによる解決が基本だが、自治体などの公的窓口にも相談できる。

●みんなで支える気持ちを持とう。いったん消えたお寺を復活させるのは困難。地域社会で重要な役割を担っていることをきちんと評価する。催しに参加するなど檀家でなくても支える方法はある。

 まず、コミュニケーションを大切にすることが基本だ。墓参りや法事などの際に住職らにあいさつしておけば、家庭の状況を伝えられるし、寺の運営状況もわかる。

 都会で離れて暮らしていても、地域社会で重要な役割を担っている存在だということを評価する。

 つきあい方で悩みやすいのがお金の問題。運営には費用がかかるのでみんなで支えるのが基本だが、お布施や寄付は強制ではない。要請されても生活に余裕がなければ、率直に伝えよう。

 墓じまいをする場合には早めに相談する。いきなり通告するのはトラブルのもと。どうしてもこじれてしまった場合は、自治体などの窓口に相談できる。

『お寺さん崩壊』(新潮新書)の著者で、自身も地方で住職を務める水月昭道さんは、問題は将来さらに深刻になると予想する。

「今はまだ、生活の中に寺があった世代がいます。寺も何とか持ちこたえていますが、10年、20年後にはその世代がいなくなり、もっと深刻になっているはずです。私たちは今のうちから、存在意義や役割を問い直し、つきあい方も考えていかなければなりません」

 お寺やお墓について考える機会は少ない。年末年始に家族が集まったときに、話し合ってはどうだろうか。(本誌・池田正史)

週刊朝日  2019年12月27日号より抜粋

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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