落語家・春風亭一之輔氏が週刊朝日で連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今週のお題は「猫」。
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この時期は毎年、週刊朝日は一号まるまる猫特集。売れるんだって。なら、毎週「猫特集」にすれば良いのだが、そこまで無節操ではないが、年一くらいはやりたい週刊朝日。暮れはいろいろ物入りだ。猫特集をやれば安心して年が越せる、餅が買えるというもの。
ここ何年か「猫」について書いてきたが、子供の頃、塀の上にいた猫に石を投げたら逆にフライングボディーアタックされたはなしや、家内の実家の飼い猫にやたらと嫌われていたはなしなど……どうもパッとしない。私も週刊朝日に貢献したい。こんなことなら今年の早いうちに猫カフェに行ったり、路地裏の野良猫を写真に収めたりすれば良かった。何かないか、猫。
……そうだ。最近、娘(9)が『ニャン魚』にハマっている。イオンに売っていた上半身が猫で下半身が魚のぬいぐるみ。『ニャン魚』が正式名称なのか、娘が勝手につけた愛称なのかは不明だ。娘の『ニャン魚』は目が点々の黒目がちでシンプルな顔立ち、下半身は青い魚だが、『ニャン魚』で検索するとそれとはまるで違う『ニャン魚』が山ほど出てくる。
制作した会社が違っても名前はなぜか『ニャン魚』。『ニャン魚』のイラストも多数。たいていは可愛らしいが、なかには劇画タッチの『リアルニャン魚』もいる。浜辺で出くわしたくない御面相だ。胸に貝殻のビキニブラを着けた『ニャン魚』も。猫のおっぱいの位置と乳首の数は人間と違うんじゃないか? 自分の飼い猫の下半身に軍手をかぶせて、ひとこと『ニャン魚!』と添えただけの雑な画像も見つけた。