そのほか、実はの膀胱炎も少なくないという。

「正確な診断には尿検査が必要ですが、つらい症状を緩和するためにまずは投薬を試すこともあります。腎不全は薬では治りませんが、膀胱炎などの感染症は薬で治りますから」(同)

 例えば、東京都のみゃあさん(19歳、メス)のケース。みゃあさんは、生後1週間ほどでマンションの非常階段に捨てられていた。飼い主の村松美加さん(50代)は目も開いていなかったみゃあさんを哺乳瓶で育て上げた。

 6歳で膀胱炎の持病が見つかり、近所の病院で薬をもらいながら様子を見てきたが、15歳を過ぎて薬が効かなくなり、排尿時に痛がって鳴くようになった。

「近所の獣医師に『膀胱がんかもしれない』と言われ、途方にくれて別の病院を訪ねました。エコー診断で『がんではないですね』と膀胱炎用の注射を打ってもらったところ、長年の患いがたちどころに治りました」

 ほかに、高齢猫がかかりやすい病気に、園田獣医師は「消化器の病気」を挙げる。「食べる量が減る」「吐く回数が増える」「便がゆるくなる」「やせてくる」などの症状がある。

 また高齢猫につきものなのは「関節炎」など整形外科的な疾患だ。「10歳以上のほぼ100%の猫にあると考えていい」と園田獣医師は言う。

 この病気の問題点は症状がわかりづらいところだ。「キャットタワーの高い場所に行かなくなった」「下りるときに躊躇(ちゅうちょ)する」などの動作の変化があるが、ほとんどの場合、飼い主は「高齢だから」と考える。ほか、排泄時に腰の痛みから「ギャー!」と鳴くこともある。極端に動きが悪くなったり、猫がつらそうであれば、エックス線診断で状態はわかる。外科的治療をすることはまれで、痛み止めで症状を緩和する。

「痛み止めは基本、安全にできているので、鎮痛剤として使うことで猫が楽になるのであれば、選択肢となります」(園田獣医師)

「歯」の病気にも要注意だ。腎不全が進行すると歯肉炎など歯周病が表れることもある。高齢になると麻酔のリスクも高くなる。定期的な検査で早めに治療を受けたい。

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週刊朝日  2019年12月13日号より抜粋