PRINCE<Photo Credit : Allen Beaulieu>
PRINCE<Photo Credit : Allen Beaulieu>
今回発売された「1999:スーパー・デラックス・エディション
今回発売された「1999:スーパー・デラックス・エディション

 米ミュージシャンのプリンス(1958~2016)が82年に発売した名盤「1999」が全曲リマスター、内容もパワーアップされ、11月29日に再発売された。

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「1999」は、全米で400万枚の売り上げを記録する大ヒット。ここからシングルカットされた曲が全米チャートで初のトップ10入りし、MTVでミュージックビデオが放送された初の黒人アーティストにもなった。この次作が世界中でさらなるメガヒットを記録した「パープル・レイン」(84年)だ。

 プリンスがかつて来日した際、「追っかけ」をして「触ったこともあります」と言うほどの大ファンでもあるミュージシャン、ホフディランの小宮山雄飛さんに、「1999」の魅力について聞いてみた。

「『1999』は、のちの『パープル・レイン』を製作することになる自信をつけた作品だった気がします。『パープル・レイン』でプリンスの音が完成して、以降はポップというものを念頭に作るようになりました。それが改めて『1999』を聴くと、ソウルやファンクなど黒人音楽の要素も色濃い一方で、実験的な印象を受けます。リンドラムというドラムマシンが、この2枚のアルバムのほぼ全曲で使われているのも、とても特徴的です。僕らの世代は完全に完成されたプリンスから入っているので、この時期の実験や試行錯誤がうかがえるプリンスの生身の部分を感じると、プリンスの若さというか、天才ではあるけれど、カワイイ部分もあったんだなという気もします(笑)」

 今回発売された「1999:スーパー・デラックス・エディション」は、オリジナル・アルバムと、プロモーション用のシングル曲、B面収録曲18曲で構成されたCD、さらに81~83年に収録された23曲の未発表スタジオ・トラックと未発表ライブ音源の5枚のCDプラス未発表ライブ映像が収録されたDVDで構成されている“超豪華盤”だ。

 プリンスは「1999」が発売された82年当時、曲作りに関してこんな言葉を残している。

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