著名人がその人生において最も記憶に残る食を紹介する連載「人生の晩餐」。今回は、漫才師・島田洋七さんの「鮪喜(つなき)」の「まぐろあご焼き」だ。
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20年ほど前から、佐賀を拠点にあちこち仕事に出かけています。東京に行ったら、弟子たちを連れてよく行くのがここ。豊洲の鮪問屋の経営らしく、鮮度抜群の刺し身や寿司が食べられる。しかも一品料理が多くて値段も手頃。普通の寿司屋だったら「好きなもん頼め」って言うても、弟子たちは気を使いよるんです。この店は気がねなく頼めるから、みんな喜びますね。
鮪料理がいろいろあるのも問屋ならでは。カマ焼きはよく見るけど、「あご焼き」なんてめずらしいでしょ? 大皿にどーんと盛られてきて、あごの骨の周りにとろっとろの身がぎっしり詰まってる。鮪のあごがこんなにうまいとは知らんかった。これ以外にコリコリのタコの吸盤の軍艦巻きも必ず注文しますね。
寿司屋もいろいろ行ったけど、この店を知ってから、今までのあの高級な寿司は何やったんかなあって。佐賀にもうまい魚はあるけど、つい足が向くんよね。弟子らも次はいつ連れてってくれるんやろって、首を長くして待ってるんと違うかな(笑)。
「鮪喜」東京都渋谷区恵比寿南1-9-10 TDビル1F/営業時間:11:30~14:00(月~金)、17:00~23:30L.O.(金、土、祝前日~翌1:30L.O.)/定休日:日曜
※週刊朝日 2019年12月6日号