チャンネルを変えるとカウントダウンの表示のスーパーが出ている。パレードって「せーのドン」で始まるものなんだろうか? 多少のズレはありそうだが。天皇陛下の同級生がコメントをしている。陛下と比べるとかなり年嵩に見える。してみると陛下は若々しい。楽隊の行進曲にのってパレードが始まった。甥っ子が自衛隊の音楽隊にいるので「あいつもそのうちこういう場所で演奏するのかな」とか思いながら眺めてると、画面には朝見たばかりのサイドカー。おー、こういう衣装で運転するのか! カッコいい!

「おーい、パレードやってるぞー!」と声をかけたが、長男次男はマンガを読み耽っている。末の娘は学校の校庭開放に遊びに行くと言う。「じゃ、パパも行くかなー」「へー、別に来てもいいよー」だって。近所の子供たちと皆で「しりとりバスケット」なる遊びをする。順番にシュートする際にしりとりで言葉を叫ぶだけの遊び。「しりとり!」「りんご!」「御即位!」「イカ!」みたいに。これでも中学時代はバスケ部だ。ポンポン決めたら娘に「パパはバスケ上手すぎる!」と褒められた。

 令和元年11月10日はなかなかに良き日でありました。

週刊朝日  2019年12月6日号

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春風亭一之輔

春風亭一之輔

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/落語家。1978年、千葉県生まれ。得意ネタは初天神、粗忽の釘、笠碁、欠伸指南など。趣味は程をわきまえた飲酒、映画・芝居鑑賞、徒歩による散策、喫茶店めぐり、洗濯。この連載をまとめたエッセー集『いちのすけのまくら』『まくらが来りて笛を吹く』『まくらの森の満開の下』(朝日新聞出版)が絶賛発売中。ぜひ!

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