林:えっ、7年も待つんですか!

小林:僕の外来でいちばんひどい人は、薬局で買える下剤を1日400錠飲んでました。これが僕の外来での記録で、1日100錠なんていう人はザラです。

林:えっ! 400錠って、どのぐらいの量ですか。

小林:どんぶり1杯半だと言ってましたね。それを毎日食べてるという感じ。強迫観念ですね。下剤を飲まないと何をやってもダメだという強迫観念。だから、食事と運動で治していけばいいんだという自信をつけさせてあげることが重要なんです。

林:そういう人が自然にスルッと出たときの喜びって、すごいものでしょうね。

小林:下剤を大量に服用している人は、もう排便の感覚がないんですね。いつトイレに行ってどうすればいいかがわからないんです。そういう方には、決まった時間にトイレに行って、そこに10分なら10分座ったら出るというのが重要で、僕の外来ですごかったのは、1日20時間トイレの中にいるという人。だからトイレの中で生活している感じになっちゃうんです。

林:「便秘外来」がないときは、皆さんどういうところに行ってたんですか。内科ですか。

小林:ほとんどの人はいろんなところを転々としてるんです。ついこの前「便秘外来」に来た20代の女性は、どこへ行っても「ただの便秘です」と言われて、たまたまうちの家内のクリニック(「小林メディカルクリニック東京」)に来て、おなかに何か触れるものがあるということでMRIを撮ったんです。それを見たらびっくりですよ。直腸が胸のところまで来ちゃってるんです。

林:えっ……。

小林:便が2カ月出てないんです。それで順天堂の小児外科の山高篤行教授という有名な先生に診察していただいたのですが、手術することになるかもしれません。

林:つらかったでしょうね。私も便秘のつらさはわかってるんで。

小林:まずは便臭ですね。便臭がすごいんで、学校とか職場で行けないんですよ。

林:なんて可哀想なんでしょう。特に女性は会社とかで大きいほうをしたくても、我慢したり、自宅に帰ってしたりする人がいるみたいですけど、これがまた便秘の原因になったりするわけですよね。

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