査定項目が細分化されればされるほど、選手自らが契約更改の席につくことは難しくなってくる。1年間、野球にすべてを捧げてきた選手が、いきなり自分のプレーの細かい査定を伝えられても、すべて理解することは不可能だろう。代理人を立てる選手が増えているが、無理もない。

 私が思うのは、チームにとってその選手しかできないことができる選手は、絶対に評価をしてあげてほしいということ。試合登板数、代打成功率、何でもいい。そういった選手の評価をしっかり上げないと、自分の特長を生かそうとする選手はどんどん減っていってしまう。今の時代は「9人」では野球はできない。レギュラーはある意味、どんぶり勘定的な部分でも給料が大幅に上がるだろう。価値ある1プレーを積み重ねた選手を評価してほしい。

 FA制度ができた当初は権利を取得しても、それはスター選手のみの特権であった。だが、今は違う。取得した権利を行使すれば、年俸はおのずと何倍にもふくれあがる。たとえ、その球団でレギュラーでなくても、特長を持った選手であれば、他球団が大きく評価する。FAに対する意識も大きく変わってきている。

週刊朝日  2019年12月6日号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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