江部医師は現在69歳だが、35年前から1日2食。そして52歳から糖質制限を実践しながら20代のころと変わらないスリムな体形をキープしているという。

「私は朝食抜きの1日2食です。たとえば晩ごはんを夜7時ごろに食べたとしたら、翌朝は何も食べません。朝はコーヒーに生クリームを入れて飲むだけです。そして昼12時ごろに昼ごはんを食べたとすると、約17時間断食をしたことになるわけです。当然のことながら糖質はほぼ摂っていませんから、血糖値は急上昇したり急降下したりすることもなく、安定しています」

 血糖値が安定していると、空腹感も感じにくいという。

「空腹感は血糖値が急降下するときに感じるものです。血糖値の乱高下が生じなければ、空腹感も生じにくい。私はこの17時間は、内臓脂肪をはじめとする体脂肪を“身体活動のエネルギー源”として燃焼させるための時間と考えています」

 1日3食より2食のほうがベターなのは、あくまでも「糖質制限」をしている人だけ、と江部医師は言う。

「糖質をたくさん摂っているのに食事回数を減らすと、逆効果にしかなりません。長い空腹時間を経て大量の糖質を摂取すれば、血糖値は一気に上がるだけです」

 糖質制限の基本は、ごはんやパン、麺類などの「主食」を控えること。主食を食べるなら、「玄米」「全粒粉パン」「十割そば」など、“黒っぽい主食”を少量に。

「黒っぽい主食は、精製度の低い穀類を原料にしているので、食物繊維の含有量が多い。それによって血糖値の上昇は、精製度の高い“白っぽい主食(白米、食パン、うどん等)”よりも若干ゆるやかになるのです」

 糖質を控える分、たんぱく質、脂質はしっかり摂る。「たんぱく質は肉、魚、卵、大豆、大豆食品などから。脂質はこれらに加えて、バターやオリーブオイルなどからしっかり摂ることです」

 そしてそれ以外にも野菜、海藻類、きのこ類などを鍋や鉄板焼きや野菜炒めなどにして摂取していくことも大切だ。野菜にも糖質が多めの野菜、糖質が少なめの野菜がある。「れんこん、人参、ゆり根などの根菜やかぼちゃなどは、野菜の中でも糖質が多めです。これらはあまり食べすぎないよう注意しましょう」

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