室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
イラスト/小田原ドラゴン
イラスト/小田原ドラゴン

 作家・室井佑月氏は、「桜を見る会」をめぐる問題に見る安倍政権のありようを論じる。

【この記事のイラストはこちら】

*  *  *

 11月16日のNHKの午後7時のニュース、トップの話題は女優の沢尻エリカさん薬物逮捕だった。それってNHKの7時のニュースのトップに持ってくるような話なのかね? おかげでこっちの扱いは小さくなった。権力の私物化ここに極まれり、「桜を見る会」よ。

 安倍首相は山口県からバス17台ぶんの自分の後援会関係者らを招待した。首相にとどまらず、夫人やお仲間議員らも、自分の関係者を呼びまくった。そんなんだから、費用が予算の3倍に膨れ上がった。1回の宴会で5500万円。

 8日の参院予算委員会、共産党の田村智子議員が、「桜を見る会」のおかしさを、「税金の私物化ではないか」と細かく指摘した。そしたらSNSなどで反響が大きくなった。個人的にいわせてもらえば「桜を見る会」案件は、加計学園問題などとさほど中身は変わらない。いいや、森友学園だって、大学入学共通テストの英語の民間試験だって、おなじよ。

 安倍首相やそのお仲間が自分らのために、共通のルールを無視する。しかも、今回は公金を使った買収かもしれないのだ(さらに悪質)。

 悪事がバレそうになると文書を改ざんしたり廃棄したりは、安倍政権のいつもの手。今回も招待客リストはすべて消去したという。「桜を見る会」について、「そんなくだらないことより」といいだし、安倍さんを擁護しようとする者がいるけど、あれはなんなのかね?

 そう、この国はもっと大事なことを抱えておる。超少子高齢化は止まらない、事故を起こした原発はメルトダウンを起こしている、トランプの米大統領選が近いから、日米貿易協定はアメリカに有利なFTAにされてしまいそう。なにせ、いらない武器やトウモロコシまで押し付けられてくる安倍さんだから。

「桜を見る会」はわかりやすく、安倍政権のいかがわしさを超えた卑劣さが表れている。この国が壊れる前に、安倍首相に首相の座を降りていただきたい。ただ降りてもらうんじゃなく、今までやったことの説明をきちんとしてもらいたい。公文書の改ざんや隠蔽(いんぺい)なんて、どんな発展途上国だよ。安倍さんたちがこの国をそうしてしまった。

著者プロフィールを見る
室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

室井佑月の記事一覧はこちら
次のページ