丸山議員の振る舞いを、どうとらえるべきなのか。

「昭和から平成の御代替わりの際は、こうした言動があった記憶はありません」

 昭和、平成の時代に宮内庁職員として勤めた山下晋司氏は、皇室と国民の距離感を象徴するような出来事だと、指摘する。

 昭和から平成に変わり、「国民とともに歩む皇室」へと変化した。令和では「国民の中に入る皇室」となり、両者の垣根はさらに低くなると思われる。例えば、皇太子時代の天皇が、コペンハーゲンで市民と一緒にスマホの自撮り写真に収まったように。

 今回、山下氏は、天皇陛下雅子さまが、小さな愛子さまを連れて公園デビューした際の、ある「事件」を思い出したという。

 2003年に、ご一家で東宮御所近くのみなみもと町公園に出かけことがあった。すると公園にいた、母親らが電話で『皇太子ご夫妻と愛子さまがいる』と知人を呼びだして大勢の人が詰めかけた。なかには、皇太子さまに、赤ちゃんを抱っこしてもらい写真を撮ろうとした人もいたという。

「いまの両陛下が、国民の中に入って行こうとされればされるほど、皇室と国民の距離感は曖昧になります。結果、丸山議員ように、『友達感覚』で天皇陛下や皇族方に接する人は増えていくでしょう。象徴天皇制度のもとで、親しみのある皇室という方向性をとることは、よい面もあれば、そうでない面も出てくると思っています」

 山下さんは、天皇をはじめとする皇族方が、そうした場面でどのように対応するのか。皇室メンバーの「対応力」が求められてくる、と話す。

「饗宴の儀」で丸山議員の「不適切」な行動があった可能性については、与党側が事実関係の調査に乗り出すことになったようだ。

「今回の丸山議員の言動は、皇族に限らず他人に対する思いやりに欠けていると思います。婚約が延期になって胸に想いを抱えておられる方に向かって、興味のままに質問することは、普通避けますよね」(山下さん)

 これからは、皇室行事に参加する人物の品位も問われることになりそうだ。

(本誌・永井貴子)

※週刊朝日オンライン限定記事