無茶を言って“言質”を取ろうとする悪質クレーマーへの対処術 (2/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

無茶を言って“言質”を取ろうとする悪質クレーマーへの対処術

連載「督促OLの逆襲」

このエントリーをはてなブックマークに追加
榎本まみ週刊朝日#榎本まみ
(C)榎本まみ 

(C)榎本まみ 

「説明不足で迷惑をこうむった! 無料にしろ!」

「も……申し訳ございません……」

「誤ってばっかりじゃらちが明かないだろ。いいから無料にするってひと言、お前が言えばいいんだよ!」

 電話はずっとこんなやり取りで続いていく。これは恫喝して怯えた相手から言質を取り、それを元に自分の要求を飲ませようとするクレーマーの常套手段だ。コールセンターで働いているとこういう電話は珍しくない。慣れたオペレータは当然要求を飲まないが、稀に彼女のように新人のオペレータが出ると勢いに押されて「YES」と言ってしまう事がある。そうすると相手も鬼の首を取ったかのように「○○ってオペレータの許可は取ってある!」と畳みかけてくるのだ。

 だからこの手のお客様は、気弱そうな女性のオペレータが出るまであえて何度も電話をかけてくることがあるのだ。

 録音を聞き終えた時、ひどく胸が痛んだ。どうしてこの日、私は彼女の隣にいてあげられなかったのだろう。そうしたら電話を代わってあげることもできたし、こんな要求相手にしなくていいんだと言い切ってあげることができたのに。

 きっと新人オペレータの彼女はこの電話で怖い思いをして、そして押し切られて返答をしてしまいそれを気に病んでコールセンターに来られなくなってしまったのだろう。

 私も新人のころ、同じことがあった。お客様に会社の非を責められている時は、「申し訳ない」「迷惑をかけた」という気持ちでいっぱいになってしまって、謝る事しかできなかった。そして何度も「××(お客様の無茶な要求)でいいんだな!?」と詰められて言葉が出て来ずに、最終的に口から出たのは「ハイ」という言葉だった。

 客観的に見れば明らかに道理が通らないような要求であっても、電話口で怒鳴られ長時間非を責められ要求を飲むようにしつこく言われれば、ついそれを認めるような返答をしてしまうのも無理はないのである。

 私はそれからそのお客様に電話をかけなおし「その要求は認められない」ときっぱりと伝えた。お客様は当然のように「ふざけるな! 前に電話に出たオペレータはいいって言ったぞ!」と怒鳴る。でも私だってもう言い負かされていた新人時代は遠い昔のことなのだ。


トップにもどる 週刊朝日記事一覧

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい