とりわけ、首相について、都内のホテルに山口県の後援会850人を招いてパーティーを開いていて、桜を見る会と事実上セットになっていたという。共産党は、これを「後援会活動そのものではないか」と厳しく追及しているのである。

 菅原一秀前経産相と河井克行前法相が相次いで辞任したときも、安倍内閣の緊張感の欠如が厳しく問われ、安倍首相の任命責任が問われた。

 だが、この両者の件については、国民の多くは怒りはしながら、やむを得ないと感じている部分もあった。

 選挙区の積極的な後援者に贈り物をするのは、少なからぬ自民党議員が行っているはずで、菅原前経産相の場合は、怒った秘書に裏切られたのであった。

 そして、河井前法相の場合は、定められた金額ではウグイス嬢が雇えなかったのであろう。

 だが、「桜を見る会」の「税金の私物化」は同情のしようがない。

 あまりにもわかりやすい。

 だから、テレビ局のワイドショーなども時間をかけて報じている。

 また、おもしろい映像がたくさんあるのだ。

 そして、「来年度の開催を中止する」とは、悪いことをしていたと認めたことになる。

 問題は、野党がどこまで厳しく追及するかということだ。森友・加計疑惑で、中途半端な追及しかできなかった野党が、である。

週刊朝日  2019年11月29日号

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田原総一朗

田原総一朗

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数

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