無断キャンセルの背景について、第一生命経済研究所の永濱利廣さんはこう話す。

「インターネット予約が主流となっていて気軽に予約ができることが背景にあるのだろう。電話のみの予約を受け付けているところも多い。飲食店は無断キャンセルを防ぐために、予約システムに客の署名を求めるなど自衛策を講じていく必要がある」

 飲食店にとって救いとなっているサービスがある。それが、ガルディア株式会社が運営する「飲食店向け保証サービス」だ。店側に対してガルディアがキャンセル被害額を保証。キャンセルした客に対しても被害額を請求する業務まで一貫して行う仕組みだ。同社代表の小山裕さんが説明する。

「前職の経験からアイデアを得て、2017年の当社設立当初から無断キャンセル保証サービスを始めました。店と当社が保証契約を交わし、店の予約サイトにもキャンセルポリシーをかかげ、客に予約キャンセルの際の請求についての同意を求めます。これにより店側が債権者、客が債務者となります」

 店側が毎月の保証料をガルディア社に支払うことで保証がなされ、予約する客にとっても無断キャンセルの「リミッター」となるシステムだ。小山さんによれば、現在数万件が予約サイトを通じて導入しているという。

「何の非もない飲食店が悪意ある人によってつらい目に遭っています。困っている人を救いたい、減らしたいという気持ちが当サービスの原点です」

 そもそも無断キャンセルはモラルの問題だ。常識的に考えれば、事前に断りを入れるのは当然のこと。忘年会シーズンを迎えつつある今、無断キャンセルはゆめゆめなさらぬように。(本誌・野田太郎)

*週刊朝日オンライン限定記事