「そもそも老化とは、体を一定の状態に保つ力、専門的には“恒常性(ホメオスタシス)”が保たれなくなる状態と考えられています。わかりやすくいうと、若いときは徹夜をしても、少しぐらいお酒を飲みすぎても、翌日には何とかなったもの。ですが、年齢を重ねるうちに無理が利かなくなり、体がきつくなってきます。それは元に戻る力が働きにくくなったためで、それこそが老化現象なのです」

 横山さんによると、徹夜や飲酒に限らず、塩分や糖分、脂肪の過剰摂取でも同じことがいえるという。

「若いころはこうしたさまざまなリスクに対して体が対応できていましたが、あるときを境にそれができなくなる。その結果が高血圧であり、糖尿病なのです。当然ながら、老化は腎臓や膵臓、肝臓など、体の一部だけでなく、全身で起こりますから、複数の生活習慣病にかかりやすくなる。つまり、高血圧の人は糖尿病にもかかりやすいといえるのです」(横山さん)

 個人差はあれ、恒常性が保たれにくくなり、生活習慣病が進行していく。その結果、免疫力が落ち、要介護になるリスクが高まる。そうした時期が一般的には70代なのだという。(本誌・山内リカ)

週刊朝日  2019年11月22日号より抜粋