渡邉さんによれば、塩の細かい結晶が肌や頭皮の表面にある角質や汚れ、余計な皮脂を物理的に取り除く上、塩の殺菌作用により肌を清潔に保つという。

「食塩は体内に入っても異物(アレルゲン)として認識されず、一般的に添加物も入っていないため、アレルギーがある人でも使いやすいです。一方で、肌に細かい傷などがあるとしみたり、刺激を感じたりすることがあります。そのときは使用をやめて、様子をみてください。皮膚科にかかっている方は、事前に医師に相談を」(渡邉さん)

 塩と精油(エッセンシャルオイル)を組み合わせた美容法を教えてくれたのは、アロマセラピーに詳しい株式会社植物蒸留らぼ.DD代表取締役社長の山下美紀さん(47)。精油とは天然の植物から香り成分を抽出したものだ。

「塩には匂いやクセがないので、アロマセラピーとの相性がいいんです。塩と香りを組み合わせることで、香りの効用もプラスされますし、何よりバスタイムが楽しくなりますね」

 山下さんオススメの塩入浴は、入浴の時間帯によって異なる。夜、寝る前の入浴ではリラックスモードになるラベンダーやオレンジ、朝風呂では心と体のやる気スイッチを入れるレモンやローズマリーがベスト。もちろん、好きな香りがあればそれを使ってみよう。

 浴槽に入れる塩と精油の量だが、塩は先に示したとおり。精油は多くても6滴以内にとどめる。妊娠中の女性や子どもへの使用は控えたほうがよいという。

 塩美容といえば、雑貨店にはバスソルトなど専用の商品が並んでいる。山下さんは「そうしたものでなくても、料理で使う天然塩で十分」という。一方、スーパーにある商品のなかにはグルタミン酸ナトリウムなどが添加されているものもあり、そういったものは塩美容には向かないそうだ。

 塩に詳しい一般社団法人日本塩ソムリエ協会理事長の中川功さんによると、基本的に塩は海水から作られるが、製法からいくつか種類が分かれている。

「一口に塩と言っても実はその種類はとても豊富で、値段もピンキリ。選ぶ際は、ぜひ商品の裏のラベルをチェックし、できれば、いくつかの製品を比較してみるといいと思います。さまざまなミネラルを含んでいる天然の塩がオススメです」(中川さん)

(本誌・山内リカ)

週刊朝日  2019年11月22日号