試合後、鳥谷コールに応え、ベンチから出て手を振る阪神・鳥谷敬=9月30日(C)朝日新聞社
試合後、鳥谷コールに応え、ベンチから出て手を振る阪神・鳥谷敬=9月30日(C)朝日新聞社
試合後、ヤクルトファンの声援に応える大引啓次=2019年6月2日(c)朝日新聞社
試合後、ヤクルトファンの声援に応える大引啓次=2019年6月2日(c)朝日新聞社
力投する巨人の森福允彦=2017年8月6日(C)朝日新聞社
力投する巨人の森福允彦=2017年8月6日(C)朝日新聞社

 今オフ、若返りを図る各球団の方針で実績のある選手たちが来季の戦力構想から外れた。チームを象徴する選手たちにも、その現実が容赦なくたたきつけられた。

【写真】昨季、今季と期待外れの結果に終わった元巨人の投手といえば

 プロ入り以来16年間阪神を引っ張った鳥谷敬、楽天一筋で13年間プレーした嶋基宏が今季限りで退団。来季は他球団で現役続行を目指す。また、ヤクルトの大引啓次、巨人の森福允彦も球団から来季の契約を結ばないことを通告され、現役続行を希望している。

 スポーツ紙のデスクはそれぞれの選手の動向をこう分析する。

「鳥谷はDeNA、ロッテが獲得に興味を示し、嶋はヤクルト入りが有力となっています。大引、森福はまだ具体的な話は聞こえてきませんが、実績がある選手なので、各球団、調査は当然しています」

 鳥谷は38歳、嶋は34歳、大引は35歳、森福は33歳。近年の成績を見ると選手としてのピークは越えたかもしれないが、それでも修羅場をくぐり抜けてきた経験値は貴重だ。各球団が補強に当たって評価するのは額面だけの成績ではないという。

 前出のデスクが言う。

「チームに与える影響力が重要です。例えば、鳥谷の野球に対する真摯な姿勢は球団の垣根を越え、他の選手たちの良きお手本になっている。嶋のリーダーシップも見習うべき点が多々あるでしょう。このようなプラスアルファも考えながら、各球団は獲得を検討しています」

 嶋と同学年の大引は、現役13年間でオリックス日本ハム、ヤクルトを渡り歩いてきた。パンチ力を秘めた打撃と、遊撃、三塁を守れる守備力が武器で、今季は70試合出場で打率2割2厘、1本塁打。

「チームの若返り策で出番は減ったが、まだまだできる」

 と他球団の選手たちの評価は高い。

 森福はじくじたる思いで巨人を去った。2016年オフにソフトバンクからフリーエージェント(FA)移籍。左のセットアッパーとして期待されたが、移籍1年目の17年は30試合の登板にとどまって6ホールド。昨季は2試合、今季も7試合の登板のみとシーズンの大半をファームで過ごした。巨人に3年間のみの在籍で期待外れの結果に終わり、悔しい思いは強いだろう。現役続行の道を模索するが、獲得に乗り出す球団が現れるだろうか。(梅宮正宗)

※週刊朝日オンライン限定記事