上空ではヘリコプターが旋回していた。遠くから演奏が聞こえて来る。東京・吉祥寺から母親とやって来たという40代の女性は、

「わからないけど、たぶん今、オープンカーが通ってますね」と話す。

 スマホを持った人の手が、一斉に手が上がった。

 拍手が起こり、オープンカーは遠くで行き過ぎたらしい。歓声は聞こえて来なかった。

 ウクライナからやって来たオレナさん(44)と娘のヴァンダさん(14)は、「人の多さに驚きました。きょうは空気感を楽しみます」と驚いた様子だった。

 赤坂署の前の青山通りの手荷物検査所で、午前4時から並んだ白滝富美子さん(78)は、天皇皇后両陛下が見えたという。

「正午から手荷物検査をやって、1番乗りでした。入った時にはすいていたけど、どんどん人が増えていった。入場制限のおかげで、私の後ろはスカスカよ。押されもしませんでした。雅子さまはいい表情をしていましたね」

 最前列なので撮りやすかったが、ちょうど西日が差して来た。

「雅子さまのロングドレスも白く、座席も白っぽかった。西日も差して逆光で、ちょっと白っぽい写真になったかも。うちへ帰ってじっくり見てみます」

 11時間以上待ったわけだが、写真としては少し残念そうだった。

 二重橋で待った女性はこう語る。

「私は最前列でいい場所で、動画を撮っていたんですが、前に立っている警備の方にカメラのピントが合ってしまい、映像は微妙なものになってしまいました。お付きの車もすごくて、周りにいたみなさんも、どの車に両陛下が乗っていらっしゃるのか、わからず、迷っているうちに、スピードもあって、あっという間に通り過ぎて行きました。ちょうど反対側で待っていたので、雅子さまのお顔は拝見できませんでしたが、間近をお通りになっただけでも幸せでした」

 パレードの人波は、両陛下の人気を裏付けることとなった。(本誌・上田耕司)

※週刊朝日オンライン限定記事

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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