東京・東久留米市の事件現場(C)朝日新聞社
東京・東久留米市の事件現場(C)朝日新聞社

 閑静な住宅街で凄惨な事件が起こった。

 東京・東久留米市の住宅で8日午後、この家の50代女性と同居していた会社員の二岡一浩さん(55)が、ベッドの上で首や胸など30か所以上を刃物で刺されて殺害されているのが見つかった。すべての部屋で荒らされたような跡が確認され、警視庁は、田無警察署に捜査本部を設置し強盗殺人事件として捜査を始めた。

 この家に住む50代の女性と20代の娘は、イタリアに旅行中で不在。そして、事件の第一発見者で110番通報したのは女性の息子だった。

 捜査関係者によると、1階のリビングの窓が割れていたが、その後の捜査で窓の鍵の部分の周りに、火を使って焼き切られた痕跡があったという。窓は30センチくらいの大きさで丸く割られていて、ガラスの破片が部屋の内側に散乱していたという。

「犯罪手口捜査の分類では典型的な『焼き破り』と呼ばれるものだ。三角破りとも呼ばれている。物色状況もあることから窃盗の常習犯かなという感じはする。ただ窃盗犯がこれだけズタズタに刺すかは疑問だ。派手に物色しているのは窃盗目的と偽装しているのではないか。状況からみると居直り強盗だが、やはり30回以上刺すというのは怨恨だろう。そして、同居する女性がいない時を狙った犯行かもしれない」

 警視庁によると現場の状況などから、犯行時刻は午前0時から未明にかけてとみている。

「女性と午前0時頃にLINEのやり取りをしているのが確認されている。それ以降の犯行と考えていいだろう。周辺の数ある住宅の中でなぜこの家を狙ったのか。計画的に侵入したことも考えられる。ただ、焼き破りはプロの手口だから、類似の手口リストも調べている」(捜査関係者)
 警視庁は現場周辺に不審な人物がいなかったか、聞き込みや周辺の防犯カメラの解析を進めている。(野田太郎)

※週刊朝日オンライン限定記事