事件現場近くの防犯ビデオに映っていた青葉容疑者(提供)
事件現場近くの防犯ビデオに映っていた青葉容疑者(提供)

 36人が死亡、33人が重軽傷を負った京都市伏見区の「京都アニメーション」(以下は京アニ)の第1スタジオ放火殺人事件で、京都府警は大阪府内の病院に入院中の青葉真司容疑者(41)=殺人などの容疑で京都府警が逮捕状=を任意で事情聴取を行った。

 放火の際、大やけどを負い、治療中の青葉容疑者を京都府警は11月8日、病院内ではじめて事情聴取したという。

「青葉容疑者とは普段、雑談するなどの接触はあった。だが、事情聴取という形は今回、はじめてだ」(捜査関係者)

 事情聴取は、1時間ほどだったという。

「放火したのは間違いない」

「死刑になることは、わかっている」

 青葉容疑者は大筋で、容疑を認めたという。事件から5か月になろうとするタイミングで、捜査は大きく動いた。

 青葉容疑者が入院している現在も、「不測の事態、逃亡などに備えて」(捜査関係者)と24時間体制で京都府警の捜査員たちが病院に詰めていたという。容態は落ち着き、9月に入ってからは、体を動かすリハビリにも本格的に取り組んでいた。来年1月に逮捕という「Xデー」の青写真を病院などと詰めていたという。

「今回の事情聴取は、病院と警察署の拘置所では、環境があまりに違いすぎる。体調が急変してはという意味もあり、落ち着いた環境の病院で話を聞いて、それをベースに警察署か拘置所で再度、聞いて供述調書を作成しようと考えている。時間をかけずに効率よくやりたい」(前出の捜査関係者)

 青葉容疑者が逮捕となった場合、即座に弁護士が選任される。京都で刑事弁護を手掛ける弁護士はこういう。

「すでに京都弁護士会では青葉容疑者の逮捕に備えて、本人の意向を確認した上ですが、すぐに弁護士を数人、選任して派遣できるように準備している」

 前出の捜査関係者が危惧しているのは、弁護士が選任されると、青葉容疑者の供述が変わるのではないか、ということだ。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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逮捕は来年1月か