今は巨人ソフトバンクのように3軍制を設け、その実戦と強化のバランスをうまくとる球団もある。2軍であっても、試合が続くと選手はどうしても疲労を残さない調整を優先させてしまう。選手育成には、その点がマイナスとなる可能性もある。西武が3軍制を設けるようだが、球界全体が変わってきている。

 ヤクルトから1位指名を受けた星稜高の奥川恭伸投手も同じだが、来年1月の新人合同自主トレまでのこの期間を無駄にしないでもらいたい。まだ体の成長過程であるならば、過度なウェートトレーニングなどは禁物ではあるが、器具を使わなくても強化はできる。今から、プロへの準備を進めてもらいたい。まずは新人合同自主トレを乗り切るだけの体力はつけることだ。

 今から思うと、松坂大輔の体力は想像をはるかに超えていた。私が開幕から1軍ローテーションでいけると判断したのは2月のキャンプで、相当きついメニューを課しながら、表情一つ変えずに10日間乗り切った時だった。今は時代が違う。追い込んだメニューを課す高校は少ない。だからこそ、プロは入団2、3年目まで含めた強化メニューをつくり、1軍へスムーズに入っていけるノウハウをつくる必要がある。

 選手も3年後、5年後の自分の姿をイメージし、球団を信じてトレーニングを積むことだ。土台が揺らいでは、上に高く積み上げることはできない。

週刊朝日  2019年11月15日号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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