※写真はイメージです (Getty Images)
※写真はイメージです (Getty Images)

 消費増税で家計負担が増す一方、現役世代の減少で年金は将来の支給水準の低下が予想される。シニアを取り巻く環境は厳しくなるばかりだ。しかし、賢いシニアはさまざまな制度を活用している。知らずに損している人が多い「もらえるお金」を調査した。

【知らずに損しているかも?「申請するだけでもらえるお金」の一覧はこちら】

 年を重ねれば医療費はかさみがちだ。高額な手術代や入院費がかかった場合には、自己負担限度額を超えた分が還付される「高額療養費制度」について知っている人は多いだろう。しかし、「医療費控除」の適用範囲が意外に広いことは知られていない。

「医師から運動療法の処方箋を出された場合、スポーツジムの費用も控除されます。温泉療法が必要となれば、温泉代も含めることが可能です」(ファイナンシャルプランナー・風呂内亜矢氏)

 必要に迫られて通院にタクシーを利用した際の費用やおむつ代、リハビリ代なども控除の対象。これらに費やしたお金が年間10万円を超える場合には、超過分が所得から控除される。

 このほか、医療費控除の特例として17年1月に施行された「セルフメディケーション税制」も上手に活用したい。ドラッグストアなどで購入できる風邪薬、胃薬などの市販薬の購入代金も控除できる。

「定期健康診断などを受けている人ならば、世帯の年間購入額が1万2千円を超えたら、最高8万8千円まで控除できます。翌年以降も必ず使うと予想される花粉症対策の薬などは、年末にまとめ買いして控除枠をフルに使うといいでしょう」(ファイナンシャルプランナー・井戸美枝氏)

 同様に、高額の介護サービス費がかかった場合には、「高額介護サービス費制度」として市区町村から自己負担限度額を超えた分の還付を受けることができる。さらに、住宅特定改修特別税額控除とは別に、手すりをつけるなど高齢者の自立を目的とした簡単な住宅改修については、「住宅改修予防給付」というかたちで20万円を上限に工事費の7~9割の補助が出る。入浴補助用具などの高額の介護用品を購入した場合にも、10万円を上限に購入費用の7~9割の助成(介護福祉用具購入助成)を受けることが可能だ。

次のページ