先日、久々に渋谷のTSUTAYAに行ったら、店頭でヒゲダンのアルバムのCDが売られていた。正直、アルバムは「スポティファイ」(音楽配信サービス)で聴きまくっていた。だけど、なんだろう。応援したい気持ちになったのだ。

 今、この時代にCDを買う人はいる。家に、CDを聴くプレーヤーがなくても買う人はいる。もちろん特典の映像なども魅力的なのだろうが、応援する気持ちで買うという人も多い。今回、ヒゲダンのCDを見て買ってしまったのは、そうです、応援する気持ち。これが今、アーティストのCDをわざわざ買うファンの気持ちなんだと理解できた。

 曲はもちろん、その姿勢に惚れる。タイアップを無駄にせず、しがみついて粘っていくアーティスト。こんな時代だからこそ、そういう人がさらに増えることを願う。

週刊朝日  2019年11月15日号

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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