「参院選では、安倍事務所の秘書らが案里さんの陣営に入っている。安倍さんの許可なく選挙の応援には行けませんから、当然、安倍さんも知っていた。菅さんも応援に入ったし、官邸まる抱えの選挙だった。だから今回は菅さんだけではなく、安倍さんの失敗にもつながりかねないので、すぐに辞めさせたのではないか、との見方が出ています」

 2閣僚の辞任は次期総理をめぐる動きにも影響しそうだ。

「参院選では、広島で案里さんが勝ち、岸田派の溝手(顕正)さんが落選。岸田派は山形などでも落とした。菅さんは次の総理を意識したのか、自身に近い人を内閣に入れて岸田(文雄)さんを潰す魂胆だったんだろうけど、やりすぎたんだよ。今回の辞任は菅さんには大きなダメージ。これで岸田さんも一気に復活するからね」(自民党幹部)

 気になるのは今後だ。「辞任ドミノ」はまだ続くのか。次の「標的」に挙げられているのは萩生田光一文部科学相。英語の民間試験を巡る「身の丈」発言が火ダネになった。政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう言う。

「英語試験の『検討・準備グループ』の議事録は非公開だから出さないと文科省は言ってますが、これが出てくるようだとさらにスキャンダルが広がる可能性がある。試験は延期となりましたが、受験の準備をしていた生徒たちはどうなるのか。萩生田氏の責任を追及する動きは続くでしょう」

 北村誠吾地方創生担当相にも、国民民主党の森ゆうこ参院議員の国会での質問通告が、事前に所管の内閣府から漏れていたのでは、との問題が浮上した。

「北村さんは、内閣府からの漏洩(ろうえい)だった場合、『責任を取る』と言っていたが、その後、『あれは一般論です』と逃げ始めた。それでも、十分、追及はできますよ」(角谷氏)

 もし3人目が辞めるようなことになると、政権運営は一気に厳しくなりそうだ。(本誌・上田耕司)

7日付けの「”お友達”閣僚ドミノ辞任 次の標的は……萩生田文科相、北村地方創生相?」の記事で、見出しを「羽生田文科相」と誤って掲載していました。「萩生田文科相」に訂正しておわびします。

週刊朝日  2019年11月15日号

著者プロフィールを見る
上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

上田耕司の記事一覧はこちら