優勝し歓喜する南アフリカの選手たち(C)朝日新聞社
優勝し歓喜する南アフリカの選手たち(C)朝日新聞社
優勝を逃したイングランドのエディ・ジョーンズHC(中央)(C)朝日新聞社
優勝を逃したイングランドのエディ・ジョーンズHC(中央)(C)朝日新聞社

 44日間にわたった長い戦いの幕を閉じたラグビー・ワールドカップ(W杯)。南アフリカは11月2日の決勝でイングランドに32-12で勝利し、1995年、2007年に続き3度目の頂点にたどり着き、優勝回数で史上最多のニュージーランドに並んだ。

【画像】イングランドのエディ・ジョーンズHCは険しい表情

 戦前の予想で有利とみられていたのは、1週間前に見事な戦いぶりで3連覇を狙っていたオールブラックス(ニュージーランド)を圧倒していたエディ・ジョーンズ・前日本代表ヘッドコーチ(HC)が率いるイングランドだった。

 テレビ中継や専門家も、そのイングランドの伝統的なフィジカルの強さと堅守に対して、南アフリカがどう挑むかが見どころと紹介していた。

 しかし、蓋を開けてみたらボール支配率やエリア支配率こそイングランドに譲ったものの、南アフリカが得意のスクラムやラインアウトで優勢に立ち、イングランド自慢のフィジカルを完全に封じ込めた。

 イングランドはここまでフィジカルを生かし相手の長所を消すことで勝ち上がってきたが、相手にフィジカルで上回られたことで成す術を失ったように見えた。

 イングランドにとっては開始3分で、スクラム最前列の1人であるプロップのカイル・シンクラーが負傷退場を余儀なくされたことが痛かった。その後は何度となくスクラムで反則を生かし、PGで失点を重ねた。

 攻めても前半30分前後に約4分間、相手ゴール前に迫り肉弾戦を仕掛けたが、南アフリカの懸命の守備でトライにはつなげられず、PGで3点を狙うのがやっとだった。

「ラグビーには常に表と裏がある」

「ラグビーは(グー、チョキ、パーの)ジャンケンのようなもの」

 とはよく聞く言葉だが、南アフリカは大会初戦でニュージーランドに敗れ1次リーグを2位通過していた。一方、イングランドはそのニュージーランドに準決勝で快勝しながら、決勝で南アフリカに敗れるわけだから面白い。

 イングランドのジョーンズHCは17年5月の組分け抽選会の日から準決勝でニュージーランドに当たることを想定し、

「2年半をかけて準備してきた」

 と話していた。

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戦略家ジョーンズHCも「説明できない」