帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
※写真はイメージです (c)朝日新聞社
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 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「うつと付き合う」。

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【ポイント】
(1)70歳を超えてからの挑戦は一見つまらない
(2)私が最近考えているつまらない挑戦
(3)私にとっては大きな挑戦で心がときめく

 これまでの人生を振り返ってみると、様々なことに挑戦してきたものだと思います。人生の前半はまさに挑戦の歴史でした。

 最初の挑戦は埼玉県川越市から越境して都立小石川高校に入学したことでしょうか。周りの雰囲気に乗っかって受験しただけでしたが、田舎の中学生にとっては大きな挑戦でした。その後、東大受験、医学部への進学、都立駒込病院への赴任、病院の開設と次々に人生の挑戦が続くのですが、そういう挑戦も60歳代まででしょうか。

 人生の後半になると、そうした華々しい挑戦は影をひそめます。私にとってホリスティック医学を追究するという道は、まだまだ続いているのですが、それは挑戦というより、道を究めるといった性格のものです。

 70歳を超えてからは、もはや実利実益につながる挑戦は必要がなくなり、むしろ人生の味わいを深めるような、派手ではない一見つまらない挑戦に代わるのではないでしょうか。

 ここで、私が最近考えているつまらない挑戦についてご紹介したいと思います。それは、より旨(うま)い湯豆腐を作るということなのです。

 私の湯豆腐好きについては、これまでも書いてきました。50年来、毎日の晩酌に欠かしたことがありません。独り身の私は会合がないときは、病院の職員食堂で晩酌をしています。そのときに湯豆腐を作ってくれるのは、気心が知れた栄養士さんです。私の好みを知っていてくれるので、本当においしい湯豆腐を毎回、出してくれます。

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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