颯爽とランウェイを歩く松岡茉優さん(撮影・伊ケ崎忍)
颯爽とランウェイを歩く松岡茉優さん(撮影・伊ケ崎忍)

 ステージから去った後、彼女は人知れずきびすを返し、キリッとステージを見回してから深々と頭を下げた。この日の大役をぬかりなくやり終えた自信からだろうか。24歳の彼女だが、その「深々」に老練の演歌歌手か? と見まごうばかりの貫禄がにじみ出る。

 10月20日、渋谷の文化村通りで開かれた第12回渋谷ファッションウィーク路上ファッションショー「SHIBUYA RUNWAY」での一コマ。”彼女”とは、このイベントのアンバサダーを務めた女優の松岡茉優だ。

 2013年、NHK朝の連ドラ「あまちゃん」の、アイドルグループGMTのリーダー入間しおり役でブレーク。ちなみに入間のキャッチフレーズは「海はないけど夢はある、埼玉在住、GMTの元気印、入間しおり19歳です!」。懐かしい。あれから6年。この日の彼女は、しっかり者で芸達者な入間しおりのイメージさながら、アンバサダー役を小憎らしいほど完ぺきにこなしていた。

 「SHIBUYA RUNWAY」とは、通行止めにした文化村通りの車道にランウェイを作り、若手デザイナーによるファッションショーをおこなったり、渋谷周辺の大型施設にあるブランドなどが参加して、渋谷ならではのリアルクローズをモデルが着て歩くイベントのこと。アンバサダーの彼女もショーの最後に登場して、斬新なファッションに身を包んで、颯爽とランウェイを歩いた。

 そんな彼女に、日曜の渋谷で鈴なりになった観客から「マユちゃーん!」「マツオカちゃーん!」といったかけ声が飛ぶ。「茉」「優」と書かれた2つのうちわで応援する男子グループなどもいて、そうした応援に気がつくたびに両手を振って、いつもの子犬のように愛くるしい笑顔で応えていた。

「今回(のファッションのポイント)はいろんな素材が組み合わさっている”異素材ミックス”と、実はパンツの上にチュールを着るという、そんな自由な感じで、私の中での渋谷感というか、東京をイメージしてみました。子供のときから渋谷はいろんなものがたくさんあって、キラキラしていて、もう一度みなさんが渋谷を大好きになってくれたらうれしいと思います」

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