佐藤浩市が“2世”に助言「一回親と距離を置いてみろ」

週刊朝日
 かっこよく主役もやれば、渋く脇を固めることも。60歳を前にして、映画出演が相次いでいる佐藤浩市さん。陰影に富んだ表情を時に破顔させながら語ったのは、最新作、役者論、親子の間柄だ。

*  *  *
 限界集落である故郷に戻って養蜂に励む男性が、村八分にあう。絶望的なまでの無念を感じた瞬間、彼は土を食べ始めた……。公開中の映画「楽園」(瀬々敬久監督)の一シーンだ。

 記者が「ものすごく印象に残りました」と伝えると、養蜂家を演じた佐藤浩市さんは「ありがとうございます」とだけ言い、しかし満足げな笑みを浮かべた。土を食べるのは、本人のアイデアだったそうだ。

 出演する映画の公開が、引きも切らない。今年だけでも、「赤い雪 Red Snow」「雪子さんの足音」「空母いぶき」「町田くんの世界」「ザ・ファブル」「記憶にございません!」とズラリ。

 総理大臣をやったかと思えば、総理をゆするフリーライター役も! 実に多彩な役を演じ続けている。今、58歳。60歳を前にしてますます精力的だ。

「主役であれ脇であれ、自分の中で、遊びどころを見つけられた役をやっているんです。ほんとは年に8カ月以上は働きたくないんですけど(笑)」

 最新作の「楽園」は、芥川賞作家・吉田修一さんの短編集『犯罪小説集』の中から、「青田Y字路」と「万屋善次郎」の2編を組み合わせて構成された。

 限界集落の中で起きた少女失踪事件。その12年後に、幼少時に母と共に来日し、この集落に住みついた青年・中村豪士(たけし=綾野剛)が、容疑者として村人たちに追い詰められていく。一方、ささいなことをきっかけに集落で村八分にされた男性・田中善次郎(ぜんじろう=佐藤浩市)は、徐々に正気を失っていく。

 さしたる根拠もないことから始まった村人からの指弾は非常に厳しく、青年も善次郎も狭い社会で孤立する。追い詰められた二人は、極端な行動を引き起こしてしまうのだ。

「これは限界集落だからという問題ではありません。都市部であっても、ネットの中では同じ状況が作られるわけで。人間ってそういう生きものなんですよね。誰かを否定することで、自分を肯定するわけです」

続きを読む

TwitterでAERA dot.をフォロー

@dot_asahi_pubさんをフォロー

FacebookでAERA dot.の記事をチェック