1次リーグ突破を決めたスコットランド戦後の取材エリアで、センターの中村亮土は言った。

「ホントに“ハードな合宿”を乗り越えてきたので、その成果だと思う。先制されても自分たちに自信があったので、パニックなどにはならなかった。80分のなかで、地道にスコアを重ねていけば絶対に逆転できると信じていた」

“ハードな合宿”とは、6月上旬~7月中旬の約1カ月に及んだ宮崎合宿のことである。4年前も、W杯開幕前にジョーンズ前HCの下、宮崎で早朝5時からの4部練習が続く長期合宿が行われ、あまりの過酷さから「地獄の宮崎合宿」と話題となった。今回は午前、午後、夜の3部練習が基本だったが、前回経験者からは「4年前よりもキツかった」との声が多く聞こえてきた。

「日本代表に、ベスト8に行った前例はない。そこにたどり着くためにハードワークで向かっていきたい」

 ジョセフHCは、3勝を挙げた前回大会を超えるためには、それを超えるハードな練習が必要だと考えたのだ。特にスクラムやラインアウトなど、これまで日本の弱点とされてきた部分の強化に力を入れた。実戦形式の練習も多く取り入れ、その内容は負荷の高いものだったという。

 午前8時半に朝練習が始まり、夜の練習が終わるのは午後9時近く。4部練は3部練になったが、前回大会を経験している松島幸太朗は「4年前より走る量は減ったかもしれないけど、夜まで続いたから疲れた」と振り返り、リーチ主将も「過去最高にしんどかった(苦笑)」とこぼした。

 ただ、そうした練習を乗り越えてきたことが、中村のコメントにもあるように、揺るぎない自信につながっているのだ。アイルランドにもスコットランドにも勝ちに行った結果の勝利である。

 中村はこうも言った。

「最初から4連勝をねらっていた」

 新たな歴史は、奇跡でもなんでもない。厳しい練習を乗り越えてきたことで刻まれた結果である。(栗原正夫)

※週刊朝日オンライン限定記事