海外では、こうした情報を消費者も入手して、健康増進に役立てている。医療費の自己負担が高く、病気を予防するセルフメディケーションの考え方が浸透しているためだ。

「『ネイチャー』や『ニューイングランドジャーナル』など、内科の専門誌でトップ3に入るほど権威ある雑誌にも、栄養成分の研究結果が載ることがあります。しかも、こうした雑誌に掲載される論文は単発の研究ではなく、いくつかの研究をまとめて検証した“メタ解析”によるもので、信頼性が高い」(久保さん)

 だが、こうした論文を消費者が活用するのは、至難の業。日本で信頼性の高い情報を得るにはどうしたらいいのか。

 その一つが、厚生労働省が信頼できる情報源としてウェブサイトで紹介している「ナチュラルメディシン・データベース(NMDB)」日本対応版の活用だ。主にアメリカの医療関係者が用いる事典のようなもので、栄養成分などについて、博士号を持つ百数十人が世界中の論文を調べて分析した結果が載っている。

 有効性は1(効く)から6(効かない)にレベル分けされ、安全性や薬との相互作用も評価している。今回、NMDBの中からレベル1~2の評価を得た19種類を、安全性とともに紹介(表)。NMDB日本対応版を発行するJahficの宇野さんは、次のように助言する。

「まず、どういう効果が期待されるかをしっかり確認しましょう。その上で、有効な成分でも自分が服用する薬との相互作用の関係で摂らないほうがいいものもあるので、摂取前に必ずかかりつけ医、あるいは薬局やドラッグストアの薬剤師に相談してください。また、摂取して副作用のような症状があったら、すぐに中止してください。用法や用量を守ることも大事です」

 そもそも、健康食品を試してみたいが、何を選べばいいかわからない……。そんなシニアに久保さんはこんなアドバイスをする。

「まずは、エネルギー代謝にかかわるビタミンB群をおすすめします」

 毎日の食事からエネルギーを得ているつもりでいても、年齢とともに食事からエネルギーを作り出す力は落ちてしまう。しっかり食事を摂っていても「疲れた」「だるい」と感じるのは、そのためだ。

「食事に含まれる炭水化物などの栄養を、エネルギーに変える際に“補酵素”としての役割を担っているのが、ビタミンB群です。簡単にいうと、ビタミンB群が不足すると食事をエネルギーに変えにくくなってしまうのです」(久保さん)

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