帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
※写真はイメージ (撮影/多田敏男)
※写真はイメージ (撮影/多田敏男)

 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「虚空」。

*  *  *

【ポイント】
(1)気功をやらなくても、気功的になれる
(2)調身、調息、調心を日々、実践する
(3)虚空と交流することで気功的人間になる

 もう20年前になりますが、『気功的人間になりませんか』(風雲舎)という本を出しました。「ガン専門医が見た理想的なライフスタイル」という副題がついています。

 この本で提言したのは、「皆さん気功をやりましょう」ということではありません。もちろん、気功をやってもかまわないのですが、やらなくても気功的になれるのです。

 気功には3つの重要な要素があります。調身、調息、調心。身を調え、息を調え、心を調えるということです。この3つを重要視するのは、ヨガや座禅でも共通しています。

 3つの要素は気功を行うときに必要なことですが、日常生活においても、大事なことなのです。気功的な人は、調身、調息、調心を日々、実践しています。

 まずは調身ですが、これは「上虚下実」を心がけることにつきます。

 上虚下実とは上半身の力が抜けて、臍下丹田(せいかたんでん)に気がみなぎっている状態。ちょっとしたことで怒って、頭に血が上ってしまってはダメです。いばっているのも、上半身に力が入りますね。肝が据わっている。腹に力がみなぎって堂々としていることが大事です。上虚下実を心がけると、自然に歩き方がリズミカルになってしっかりしてきます。

 次は調息。呼主吸従といって、吐く息に気持ちを込めることが重要になります。とはいっても、日々の呼吸でそれを意識するのは無理です。通常は自然に吸って、自然に吐けばいいのですが、時に意識的に呼吸をしてみましょう。

 そのときにいいのは、調和道丹田呼吸法の緩息です。椅子に浅く腰掛けて、まず伸び上がるようにして吸い、次にみぞおちを弛めて、上半身を骨盤に落としながら吐く。これをもう一度繰り返したあと、3度目は上半身を前傾して吐き切ります。こうした呼吸法を実践することにより、日々の呼吸もゆったりとした呼主吸従になってきます。

著者プロフィールを見る
帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

帯津良一の記事一覧はこちら
次のページ