松坂は昨年、6勝(4敗)をマークしてカムバック賞を受賞。本人は満足していないかもしれないが、右腕を振り続けて中日ファン、野球ファンの心をつかんだ。

 松坂をよく知る関係者は今回の退団について、こう理解を示す。

「もちろん中日でプレーしたい気持ちはあったと思います。ただ、恩人の2人がチームを去って自分が残ることをよしとしなかったんでしょう。不器用ですけど大輔らしいなと。自分の筋を通したのだと感じました」

 だが、ファンの胸中は複雑だ。名古屋市在住で中日ファン歴30年の赤木庸介さん(39)は肩を落とす。

「獲得の経緯は理解できますが、選手はチーム、ファンのために投げる思いを持ってほしいという気持ちが個人的にあります。ファンは中日のユニホームを着てマウンドに立つ松坂投手をまだまだ見たかった。球団も望んでいたし……。今回の決断は正直残念です」

 松坂は他球団での現役続行を模索している。救いの手を差し伸べる球団が注目される。(梅宮昌宗)

※週刊朝日オンライン限定記事