「カード会社などから求められる手数料も重荷です。ポイント還元制度の期間中は手数料に上限が設けられるとはいえ、終了後に上がることも考えられます。キャッシュレス決済の導入に慎重にならざるを得ないでしょう」

 新しいレジや決済端末の導入には数百万円かかることも。もともと競争の激しい中小企業は、増税分を価格に転嫁しにくく、経営の先行きは見通せない。長年続いた店を9月末で閉じた事例も相次いでいる。

 このように、庶民や中小事業者にはつらいことばかり。そもそも物を買えば1割も税金を取られることをずっと我慢できるのか。財政健全化や社会保障制度のために必要だというが、お金の使い道や税金の取り方は公平なのか。いつまでも黙っているだけでは、生き残ることはできない。

(本誌・池田正史、浅井秀樹、亀井洋志、多田敏男)

週刊朝日  2019年10月18日号より抜粋

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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