参院本会議場での「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首 (c)朝日新聞社
参院本会議場での「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首 (c)朝日新聞社
多くの報道陣を前に話す立花孝志党首。メディア向けPRを重視している=9月、撮影・多田敏男
多くの報道陣を前に話す立花孝志党首。メディア向けPRを重視している=9月、撮影・多田敏男

 問題発言を繰り返し批判を浴びてきたNHKから国民を守る党(N国)の立花孝志党首が参院議員を辞めた。反省して身を引くというわけではなく、参院埼玉選挙区補欠選挙(10月10日告示、27日投開票)に立候補したため自動失職したのだ。

【写真】多くの報道陣を前に話す立花孝志党首

 7月の参院選でN国比例名簿で次点だった浜田聡氏が繰り上げ当選するため、N国の1議席は残る。立花氏は10月8日の会見で、浜田氏は任期満了を待たずに2025年5月には辞職する見通しを示した。その後は参院選に立候補していた2人の候補者に1カ月ずつ議員をしてもらうと語っており、議席を事実上“たらい回し”するものだ。

 立花氏は、前衆院議員の豊田真由子氏や埼玉県知事選に出馬した青島健太氏、森友学園問題で注目を集めた籠池泰典氏の長男・籠池佳茂氏らに、同補欠選挙への出馬を打診したが前向きな返事がなかったとしている。そのため、自分が出るしかないと決めたという。

 同補欠選挙には上田清司・前埼玉県知事が無所属で出馬し、立憲民主党と国民民主党などが支援する。政権・与党の自民、公明は独自候補の擁立を断念した。自民党内には憲法改正の議論に前向きな上田氏を評価する意見もある。

 立花氏は同補欠選挙の争点を「既得権益VS反既得権益」だと訴えている。選挙で注目されることは、NHKのスクランブル放送の実現という独自の主張をPRできるチャンスだととらえているようだ。

 立花氏は7月の参院選で初当選したが、問題発言を繰り返してきた。動画投稿サイトでは、9月の対談で戦争を防ぐには世界の人口を抑制する必要があるとの考えを披露。次のような発言もしていた。

「とにかく下等な人類はつぶしてしまう。ある程度の知識のある人しかこの地球には残さない」

 途上国への教育支援などを巡っては、「犬に教えるのは無理じゃん。世界中の人間には、ほぼそれに近い人が圧倒的に多い」とも語った。

 その後、動画投稿サイトで、「どっかの国の人たちを殺してしまおうとか、そんなつもりはさらさらない」などと釈明したが、発言の撤回や謝罪はしていない。

 批判的な記事については、書いてくれることによって話題になるなどとして、「炎上商法」であることを認めるかのように開き直った。

 立花氏は10月2日には、元N国の東京都中央区議の男性に対する脅迫容疑で書類送検された。4月の統一地方選にN国公認で当選した区議が離党したことを批判する動画をネットに投稿。「徹底的にこいつの人生潰しにいく」などと発言し、脅した疑いがあるという。

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資質を問われる発言を繰り返してきた立花党首