巨人の坂本勇人 (c)朝日新聞社
巨人の坂本勇人 (c)朝日新聞社

 今年のセ・リーグ最優秀選手(MVP)は巨人坂本勇人(30)で異論はないだろう。新境地の「攻撃的な2番」で打線を牽引(けんいん)。打率3割1分2厘、生え抜きの右打者では球団史上最多の40本塁打、94打点。守備の負荷が大きい遊撃で残したこの数字は圧巻だ。

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 原辰徳監督も、その働きぶりを絶賛した。

「チームをまとめる力は先輩の阿部(慎之助)に負けないぐらいの強いリーダーシップがある。ぶっちぎりのMVP」

 ナインの中で誰よりも勝利に飢えていた。

 2014年オフに26歳と戦後の球団史上最年少の若さで主将に就任した。言葉でリーダーシップを取るタイプではない。翌15年から4年連続で優勝を逃し、優勝後の記者会見では本音をこう漏らした。

「4年間、僕が主将になってから優勝できず、本当にプロ野球人生の中で一番苦しんだ。主将を引き継ぐ時はそこまで重く感じなかったんです。優勝できない日々が続いて、どうやったらチームが勝てるのかというのをずっと考えながらやっていたんですけど、なかなか答えが見つからなくて」

 だが、5年ぶりのリーグ優勝でその重圧からも解き放たれた。

「今まで何度も優勝させてもらったけど、主将になって立場も変わって、優勝する瞬間は格別な思いで、自分が思っていた以上にうれしかったです」

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