中日の2軍監督を退任する小笠原道大氏 (c)朝日新聞社
中日の2軍監督を退任する小笠原道大氏 (c)朝日新聞社
中日の2軍打撃コーチを退任する森野将彦氏 (c)朝日新聞社
中日の2軍打撃コーチを退任する森野将彦氏 (c)朝日新聞社

 中日が来季に向けてのコーチ人事で選手を驚かせた。9月28日に小笠原道大2軍監督、2軍の森野将彦2軍打撃コーチ、石井昭男2軍打撃コーチ、田村藤夫2軍バッテリーコーチと来季の契約を結ばないことを発表した。

【写真】中日の2軍打撃コーチを退任する森野将彦氏

 森野コーチは2017年限りで現役引退し、昨季から2軍打撃コーチに就任。中日一筋で21年間プレーしたスター選手でファンの人気も高かった。将来は指導者として経験を積み、監督候補とも見られていただけにわずか2年で退団は予想外だった。この一報を聞いたある選手は驚きのあまり、「え? 森野さん辞めるんですか」と言ったまま絶句した。

 17年オフに01年以来17年ぶりに打撃コーチに復帰した石井コーチは当てはまらないが、小笠原2軍監督、森野コーチ、田村コーチの3人に共通するのは元中日監督・落合博満氏と結びつきが強い「落合派閥」であることだ。

 小笠原2軍監督は日本ハム時代に落合氏と共にプレー。13年限りで巨人から事実上の構想外となると、中日の監督だった落合氏が救いの手を差し伸べてフリーエージェント(FA)移籍した。森野コーチも落合監督の指導の下で猛練習して素質を開花。中心選手として黄金期のチームを支えた。田村コーチも07年から落合政権でバッテリーコーチに就任し、同年の日本一や2度のリーグ優勝に貢献。11年限りで監督を退任した落合氏と共に中日を退団している。17年に中日に復帰した。

 今季もクライマックスシリーズ(CS)進出はならず7年連続Bクラスと低迷しているが、チームは若返りを図っている。

 山本拓実、梅津晃大が先発ローテーションに定着し、藤嶋健人も夏場からセットアッパーとして活躍。野手もルーキーの根尾昂、石橋康太ら成長が楽しみな逸材が多い。チームが変化の時を迎えている中、球団は落合色の刷新に踏み切ったのかもしれない。10月1日には、落合氏が監督に就任した04年から投手コーチなどを務めて落合氏を支えた森繁和シニアディレクターの今季限りでの退団も決まった。

 ただ、ファン心理としては複雑な部分も。名古屋市在住で中日ファン歴35年の会社員の竹原俊之さん(45)は、こんな思いを口にした。

「森野さんの退団がショックです。指導者としてまだ1年。中日を象徴する選手だったし、コーチとしてもう少し長い目で見てほしかったですね。今年は根尾に遅い時間まで練習指導をしていた姿が印象的でした。またドラゴンズに戻ってきてほしいです」

 「オレ竜」への決別は吉と出るか、凶と出るか――。(梅宮昌宗)

※週刊朝日オンライン限定記事