最後は、どの程度の金額の高齢者ホームに入居できるかの目安を出してみよう。支給される年金額から、先ほど計算した「月額費用以外の生活費・雑費の総額」を引いてみるといくらになるだろうか。その金額を軸に、高齢者ホームを探すのが大切だ。

「月額費用として支払うことができる金額が思ったより少ない人は、まず、立地から見直すことをおすすめします。一般的に高齢者ホームの費用は、地域によって“相場”がかなり異なります。たとえば都心部は他の地域に比べて、費用が高めの傾向にあります。郊外へ少し足を延ばすことで費用も下がり、選択肢は広がります」(同)

 都心を離れ、郊外の立地、あるいは地方移住などを選択する。それだけで高齢者ホームの月額費用はぐんと下がるのだ。

 立地を見直したくない場合は、入居一時金を多めに用意して、月額費用を抑えるのも一手だ。

「入居一時金として500万円なり1千万円なりを支払うと、月額費用を抑えられます。月額費用は、5年入居しようと20年入居しようと変わりません。長い間入居するほどお得になるということです。退職金や、自宅を売却した際の資産を入居一時金に充てるなどして、月々の支払いは年金額内で収める人もいます」(同)

 その場合は、入居後に介護状態が変化した際、どのような費用の負担が増えるのか確認しておくことが重要だ。通院の付き添いや買い物の代行といったオプション費用についても、施設側に問い合わせて相談しておこう。

『週刊朝日』10月4日号(9月24日発売)では、厚生年金の平均受給額に近い「月額費用14万円以下」の全国の高齢者ホーム649施設を紹介している。時間があるうちに情報を集めて実際に足を運んで見学し、後悔しない終のすみかを探してほしい。(「高齢者ホーム2020」取材班)

週刊朝日  2019年10月4日号