たとえば、「夫が会社員、妻が専業主婦」のケースで、夫婦の年金額を計23万円と想定しよう。内訳だが、夫は「老齢基礎年金6万5千円+老齢厚生年金10万円」、妻は、「老齢基礎年金6万5千円」だ。夫が亡くなった場合、遺族年金の対象となるのは、夫の「老齢厚生年金10万円」のみ。その4分の3の7万5千円が遺族年金となる。妻には、自分の老齢基礎年金を加えた14万円が年金として支給されるのだ。意外と少ないと思った人も多いのではないだろうか。配偶者亡き後の年金額を予測しておくことが重要だ。

 もらえる年金額を確認したら、次は自分の資産額を把握しよう。

「預貯金、株、投資信託、貴金属類、不動産といった資産を書き出して整理しておくことをおすすめします。株などの場合、現金化した際に価値が大きく変動している可能性が出てきます」(同)

 不動産にも注意が必要だ。高齢者ホームへの入居を考える際、持ち家があるままだと固定資産税や家の修繕費、維持費がかかる。持ち家を売却したお金で、ホームの入居一時金などの初期費用に充てることも選択肢の一つだ。

 とはいえ、不動産などの資産の処分は意外と時間がかかり、損失の発生も考えられる。老後資金として自宅を売却する場合は、専門家に相談するなどの計画性も重要となる。

 資産を書き出した後、「負債」がある場合はそれを書き出すことも忘れてはいけない。資産と負債を合わせて、おおよその資産額を把握しておこう。

 次に確認しておきたいのが、老後の生活費だ。まず、現在の生活費の明細を書き出してみよう。食費、光熱費、住宅費、被服費、交際費、趣味・教養費、医療費、保険料など、細かく書いていく。

 そのうえで、高齢者ホームに入居した場合、どの費用が月額費用に含まれるのかを考える。ホームに入居した場合、基本的に月額費用に食費や光熱費を含むところが多い。一方、洋服代や趣味への出費などは個人負担となる。孫におこづかいをあげたいという人もいるだろう。

「高齢者ホームの月額費用」と「それ以外の生活費・雑費の総額」を分けて考える。この金額を予想しておかないと、入居後に余裕がなくなって困ったということにもなりかねない。

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