※写真はイメージ(gettyimage)
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 配偶者に先立たれ、この先を考えてという場合、遠く離れて住む親が、そろそろ体力的にも一人暮らしは難しくなってきたという場合に頭をよぎるのが高齢者ホームへの入居だ。だが、気になるのはやはり「お金」の問題。「できれば年金内で」という声もよく聞く。「年金だけ」で入れる高齢者ホームはあるのだろうか。探すコツを紹介する。

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 高齢者ホーム選びの要になるのはやはり費用だ。とりわけ「もらっている年金の金額内で暮らせるホームがいい」という声をよく耳にする。人生100年時代ともいわれる昨今、自分が何歳まで生きるのかはわからない。しかし、貯金を切り崩しながらの生活では、不安が残るだろう。

 そこで、「年金だけ」で暮らせる高齢者ホーム探しのコツを聞いた。公認会計士・税理士で、現在、高齢者住宅紹介業「えんカウント」を運営し、高齢者住まいアドバイザーとしても活躍する満田将太さんはこう話す。

「老後の収入である年金がどのくらいあるかを確認するのが大切です。すでに年金受給者となっている人は、振り込みのお知らせハガキが届いていますので、チェックしましょう」

 日本の公的年金は、すべての人が受け取る国民年金(基礎年金)、会社員や公務員だった人などが国民年金に上乗せして受け取れる厚生年金の二つがある。厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況(平成29年度版)」によると、平均的な受給額は、国民年金は月に5万5615円、厚生年金は月に14万7051円となっている。

 夫婦で受給している場合の平均額は、「夫が会社員、妻が専業主婦」のケースで計22万1283円、「夫婦とも会社員」のケースで計26万8694円だ。

「大切なのは、配偶者に先立たれた場合の年金額を想定しておくこと。ホームへの入居は、配偶者が亡くなってからというケースが多いのです。配偶者死亡後の年金額は、大きく変わります」(満田さん)

 夫婦2人ともが国民年金だった場合、基本的に片方が亡くなれば単純に年金額は半分になる。一方、厚生年金には、家族の生活を保障する遺族厚生年金があり、厚生年金に加入していた人が死亡しても配偶者には4分の3が支給される。だが全額の4分の3を受給できるわけではない。老齢基礎年金部分は対象にならないので注意が必要だ。

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