河野防衛相(左)と茂木外相。内閣改造で日韓関係は悪い方向へいく可能性も (c)朝日新聞社
河野防衛相(左)と茂木外相。内閣改造で日韓関係は悪い方向へいく可能性も (c)朝日新聞社

 茂木敏充新外相(63)に河野太郎新防衛相(56)──。

「安倍内閣は、日韓関係の改善に本気で取り組む気はない。それが第4次再改造内閣のメンバーを見たときの第一印象でした」

 そう話すのは、外交・安保に詳しい国際ジャーナリストの春名幹男氏だ。問題が山積している日韓関係の改善は遠のいたという。

 現在、日韓両政府は、元徴用工問題や輸出規制、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄によってかつてないほどに緊張が高まっている。民間でも韓国からのインバウンドが急減。7月の韓国人旅行客は、前年同月比で7.6%減。旅行大手のJTBは、韓国へのツアー商品の販売状況は、前年同期比で8月が3割減、9月に至っては5割減、と話す。両国をつなぐ日韓双方の格安航空会社(LCC)のティーウェイやエアソウル、ピーチ・アビエーションなども次々に運休に踏み切っている。

 過去に政府間の緊張が高まったことは幾度もあった。しかし、一般の人々の間では、「民間の交流は政治とは別」との意識が強く、ここまで経済活動や民間交流に悪影響が出ることはそうはなかった。しかし、「いまや日韓関係は最悪」(春名氏)といえる状況だ。

 そこにきて今回の内閣改造。春名氏は、安倍政権の日韓関係改善への意欲はほぼゼロ、とみている。その一端は、外相と防衛相の顔ぶれに表れているという。

 まずは、河野氏が防衛相という点。日韓政府は、GSOMIAで、北朝鮮のミサイル発射に関する情報などを共有してきた。春名氏によると、防衛省としてはその破棄だけは避けたいと妥協点を探っていたという。

「これまで交渉を担ってきた岩屋毅前防衛相は、6月のIISSアジア安保会議で、韓国の鄭景斗(チョンギョンドウ)国防相との非公式会談で関係改善への努力を確認していました。だが、新防衛相に据えたのは、韓国に強硬姿勢で挑んできた河野前外相です。これは、今度は韓国に甘い態度は見せないという安倍政権の意思の表れでしょう」

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